『気狂いピエロ』 前回、ゴダール監督のことを少し書いたので、もう一本、彼の代表作を紹介したい。『気狂いピエロ』Pierrot Le Fou フランス・イタリア 1965年公開監督 ジャン=リュック・ゴダール主演 ジャン=ポール・ベルモンド アンナ・カリーナ評価 ★★★★★ この『気狂いピエロ』は、ゴダール作品の中では一番好きな作品だ。ひとつひとつのシーンを切り取って、額に収めておきたいほど。上の写真は、追手のギャングと対決(?)するワンシーンなのだが、自分の武器は、このハサミであることを示している。ギャングは拳銃を構えてくる。まともなら勝ち目はない。しかし、たかがハサミとはいえ、鋭く鋭利な刃物で、使いようによっては、人を殺すこともできる。普段は髪を切ったりするだけの道具が、使い方ひとつで、殺人の道具になってしまう。このシーンが言わんとすることは、そんなところだろうが、このハサミは、彼女を象徴するもの、という捉え方もできる。こういう象徴的なシーンが、『気狂いピエロ』を構成するパーツになっている。この作品で《永遠》を象徴する地中海。美しい青をバックにしたロケーションは、ずっと眺めていたいと感じさせる。by spacecowboy PR